恐いと思った事1
1992年8月15日 天気晴れ 通算51本目
ポイント:串本・浅地 目的:ファンダイブ
浅地と言えば、串本で最も人気のあるポイントでしょう。透明度の良さ、魚の多さ、回遊魚、
大物が見られる等の理由です。しかし流れが強い事が多いので上級者向けポイントとされています。
初めて僕が浅地に入った時の事です。ボートダイビングの経験は22本目の事でした。
その日のブリーフィングでも流れについての説明が有り、カレントラインの使用や、アンカーロープに
沿った潜降などの指示が有りました。
アンカー下(アンカー:いかりの下ろされた根元)で一旦集合した後、移動開始の指示もありました。
潜降ポイントに船が着き、アンカーが下ろされ、船のスタッフが流れの強さをチェックし、
エントリーOKの指示が出されました。
バックロールでエントリーし、船の脇に流されていたカレントラインにつかまり、
船の前方へと、水面移動をしました。
船のへさき近くまで移動し、今度はへさきから出ているアンカーロープにつかまる為に
一旦カレントラインを離し、何メートルか離れたアンカーロープを目指して水面を泳ぎ出しました。
しかし流れが強く、アンカーロープに近づけません。
泳いでも同じ位置にいるのがやっとで、泳ぐのを止めれば後ろに流されてしまいます。
水面よりも少し潜降した方が楽だと思い、2〜3メートル(だったと思います)まで潜降しました。
それでもなかなかアンカーロープに近づけません。
流れに逆らって泳ぐのにも疲れてきました。
アンカーロープは斜めに水中にのびているので、水深が深くなれば、それだけ余計に
遠くになります。
泳いでアンカーロープにたどりつくのは無理だと思い、水底まで潜降して岩につかまって
進んだ方が良いと思い、ヘッドファーストで水底に向かって泳ぎ出しました。
しかし、この時、僕は、その位置で何メートルまで潜れば水底があるのか?は
わかっていませんでした。下を見ても青い水が見えていただけで
水底は見えていませんでした。
浅地は海底に根が立ち上がっているポイントですから、根の上をはずれれば
水底は30メートルか、50メートルかわかりません。
しばらくする水底?が見えてきました。岩につかまりました。流れはまだかなりありました。
岩につかまりながら、流れに逆らい前進を始めました。
この時の水深は何メートルだったのかは覚えていません。
アンカーにたどりつくのに懸命で水深計など見る余裕が無かったのだと思います。
自分の行った水深を覚えていないというのは、とても危険な事です。
さらに、そんなに余裕の無い状態では残圧計も見ていなかったでしょう。
言うまでもなく危険な状態です。
しばらく(たぶん何十メートルか)進むとアンカーの根元が見えてきました。ほっとしました。
アンカーの根元で、ガイドの人や、他のメンバーと集合し、
その後もファンダイブを続けましたが、ほとんど岩につかまりながらの移動だったので
何の魚を見たのか全く覚えていません。
つかまった岩のくぼみにウニが多かった事だけが記憶に残っています。
初めてのポイントで、今まで出会った事の無い流れに恐いと思った経験です。